お正月やハレの日、お家で家族や大切な人とお雑煮を美味しく頂くためのお椀。
漆器の定番とも言える、蓋付きの漆塗りのお椀、「雑煮椀」をご紹介します。
新年の食卓に、漆器の雑煮椀を。
近世以降、漆は、身の回りのさまざまな家具、調度、汁器に塗られ、日常生活になくてはならないものとなった。(中略)塗りものが浸透したのは、その機能性と装飾効果ゆえである。漆は、人々のくらしに豊かさを添えるものであり続けた。
国立歴史民俗博物館『企画展示 URUSHIふしぎ物語 -人と漆の12000年史-』(歴史民俗博物館振興会、二〇一七)一二〇頁
お雑煮をより美味しく頂くためのお椀である、雑煮椀。
古くから日本のお祝い事の席には欠かせなかった漆器。お雑煮を頂くための漆塗りの雑煮椀は、様々な食材が食卓を彩るハレの日にぴったりの器です。
落ち着きのある色の器は様々な食材の色を引き立ててくれます。
また、深さのある大きめの器は、お持ちや野菜、魚など沢山の具材を盛り付けられます。
シンプルで使い勝手の良い雑煮椀に、「我が家の味」を盛り付ければ、手の込んだ料理の美味しさも一層引き立ち、食卓も華やかな雰囲気になりますね。
漆器の雑煮椀なら、口触りもよく耐久性も◎
唇に触れるものが、プラスチックか、土のものか、漆かというのは気分的にもものすごい差があると思います。
赤木 明登、日置 武晴、高橋 みどり『毎日つかう漆のうつわ』(新潮社、二〇〇七)八頁
せっかくこだわりを持ってお椀を選ぶなら、木製・漆塗りの雑煮椀がおすすめです。
自然界最強ともいわれる漆を塗ったお椀は、肌なじみもよく、何代にも渡ってお使い頂ける耐久性も兼ね備えています。
漆器が口に触れた時の、滑らかで優しい感覚。
一度この魅力に触れてしまうと、他の素材のものは使えなくなってしまう、といった方も多いのではないでしょうか。
日本人が漆器を使い始めた歴史は、縄文時代。
今もなお漆器が愛され続けているのは、私達人間が「本能的に心地よい」と感じている証拠といっても過言ではないでしょう。
熱々のお雑煮も熱くない、木製のお椀。
陶器やプラスチックの食器が主流である昨今、お味噌汁の器だけは木製という方も多いのではないでしょうか。
熱々の汁物を入れても熱くない、木材の断熱性。
肌なじみの良い優しい手触りは、食器を手に取る日本特有の食生活ならではの大事なポイント。
また、木製のお椀は陶器のものと比べ、一般的には1/2ほどの軽さであることも特徴です。
お椀を持っても手が疲れにくいので、小さいお子様でもお椀を手に持ってご飯を楽しむことができます。
おすすめの漆器の雑煮椀
ここからは、おすすめの漆器の雑煮椀をご紹介いたします。
いずれの作品も、素地となる木材を丁寧に削りだし、漆を塗ったもの。
ハレの日を彩る、ご家庭の食卓にぴったりの雑煮椀が見つかりますように。
※こちらで紹介している商品は、2023年1月4日時点の価格を参考にしています。
「宮内庁御用達」老舗漆器店の丁寧な雑煮椀
宮内庁御用達、山田平安堂のシンプルな木製の雑煮椀。天然木を相手に作られたお椀は収縮するため、蓋を合わせて作るには熟練の技術が必要となります。自然の素材を職人の技が織りなす贅沢なお椀は、ハレの日を彩るお椀にぴったりの一品。
松の絵柄が華やかな、沈金の雑煮椀
一彫りごと削って金を埋める「沈金(ちんきん)」という技法で松を描いた、華やかな雑煮椀。
桜の木目と、茜の色を愛でる雑煮椀
桜の木の木目を美しく際立たせた、摺漆仕上げのシンプルな雑煮椀。大ぶりのお椀は、多めによそったご飯や汁物、煮物椀など、幅広い用途で使えるのが嬉しい。
お正月にふさわしい、おめでたい絵柄の雑煮椀
光の輪におめでたい松を組み合わせた「光輪松(こうりんまつ)」が描かれた雑煮椀。華やかさがありながらシンプルで落ち着きがあるデザインは、山中漆器ならではの味わいに。
雑煮椀と箸と箸置きがセットになった、仲良し夫婦6点セット
雑煮椀・箸・箸置きがそれぞれセットになったペア夫婦6点セット。具沢山のお雑煮や、毎日いただく汁物のお椀としてもぴったり。
金牡丹で晴れやかに正月を飾る、山本勝作の雑煮椀
正月を祝うにふさわしい、気高い金牡丹が雑煮椀の表面に施されている。手塗りの漆が醸し出す艶と質感に、本金の絵柄が美しく輝く。
温かみを感じる、エクボ柄の雑煮椀
布でエクボ柄を描いた大き目の木製根来塗りの漆の雑煮椀。渕には布を貼ってからうるしを塗っているので、丈夫に仕上がっている。
上品モダンな市松模様。越前漆器の蓋付き雑煮椀
越前漆器の蓋付き雑煮椀。金箔・銀箔や絵漆の上から透明な漆を塗る「白檀塗り」技法を使用。モダンな市松模様で高級感あふれる演出に。
ケヤキの木目が美しい、艶やかな表面の雑煮椀
表面に水をたたえたような美しさと、漆越しに透けるケヤキの木目が特徴的な一品。鏡のような光沢を持つ仕上がりとなる木地呂塗りが、ハレの日の食卓に輝きをもたらす。
蓋に散りばめられた金箔が美しい雑煮椀
従来よりも少し大きめサイズの雑煮椀。蓋に散らした金箔で、食卓を一層華やかな印象に。
まとめ
ハレの日の器と聞くとどこか敷居の高さを感じてしまいますが、お味噌汁を頂くための普段使いの汁椀としても、もちろんお使い頂けます。お祝いの席には、蓋も添えていつもより華やかに・・・というように、蓋付きの器はシーンに応じて使い分けられるのも良いですね。