木製漆塗りのお椀の制作過程

お椀を変えれば、食生活が変わる。少し大げさかもしれませんが、ご飯やお味噌汁を頂く日本の食生活で欠かせないお椀は、毎日触れるもの。とある沖縄の小学校では、子どもたちが給食で使う食器を木製のものに取り替えたところ、子どもたちが食器を手に取るようになり、姿勢までも改善した、という研究があります。

メラミン製食器の場合には、背中を丸め、顔を食器に直接近づけて食べるいわゆる大食い状態で食事をする児童が常に5名前後見受けられたが、木製食器になった場合、〔中略〕比較的多くの児童が食器を手で持つようになったといえる。〔中略〕これは、まったく使っていなかった左の手が食器に触れることで、上体が起きて背筋がまっすぐになったと考えられ、すなわち、食器が手で触りたくなるような材質、ずっと触っていたい材質であることが、正しい姿勢を誘発させたと考えることができる。


福田, 英昭,大内, 毅(1994)「 学校給食用木製食器の使用による児童の諸反応(第2報) : 児童の行動分析および食器のデザイン」、『木材工業』Vol.49、?no.5、219-222、?日本木材加工技術協会

ずっと触れていたくなるような、お椀をお持ちですか。
まずは木製、そして漆塗りの椀と、それぞれのお椀が持つ魅力に迫ります。

熱々のお味噌汁も熱くない、木製お椀。

漆を塗る前の木製のお椀

陶器やプラスチックの食器が主流である昨今、お味噌汁の器だけは木製という方も多いのではないでしょうか。熱々のお味噌汁を入れても熱くない、木材の断熱性。肌なじみの良い優しい手触りは、食器を手に取る日本特有の食生活ならではの大事なポイント。

また、木製のお椀は陶器のものと比べ、一般的には1/2ほどの軽さであることも特徴です。お椀を持っても手が疲れにくいので、小さいお子様でも左手にお椀を持ってご飯を楽しむことができます。

肌なじみの良い、触れていたくなる素材。熱々のお味噌汁やご飯をよそっても、熱くない断熱性。そして、軽さ。食生活を豊かにするお椀の条件が、少しずつ見えてきました。

至高のお椀は、木製、漆塗り?

漆塗りのお椀を制作過程順に並べたもの

木製の素地に漆を塗った、漆椀。木製のお椀の良さである「断熱性」や「軽さ」をそのままに、漆の特性が加わることで、お椀の完成形ともいえる利便性、芸術性を誇ります。

肌なじみについて、木と漆のどちらが良いかは個人の好みとなるので、まずは自分の感覚を信じてみるのが良いでしょう。木材ならではの優しい肌触り、漆特有のしっとりと手に馴染む感覚、どちらも捨てがたいですね。

漆椀の利便性について特にお伝えしたいのは、漆椀の洗いやすさ。漆は堅牢度が非常に高いので、水かお湯のみ、気になる場合でも少量食器用洗剤のみで、汚れを落とすことができます。

そして、漆の器は使えば使うほど、正確に言うと、きちんと洗ってきちんと拭く、といった手入れを重ねるほど、艷を増していきます。日々使うものだからこそ、手入れは丁寧に、最小限に。

漆のお椀は、1000年以上前から愛され続けてきました。ご飯が美味しく楽しめて、大切に扱いたくなる魅力があり、日々の手入れが簡単である、至高のお椀。是非一度、お試しください。

精魂こめて漆の仕事に向き合った者へ。愛おしみながら使い続ける者へ。扱われてきたすべての歳月へ――内側から滲み、溢れ出るすこやかな美しさは、あたかも漆の恩返しである。
平松 洋子『買えない味』(ちくま文庫、二〇一〇)三八―三九頁

木製のお椀から、漆椀まで。おすすめのお椀5選

ここからは、新しくお選び頂くのにおすすめのお椀をご紹介します。
多種多様なお椀の中からお気に入りのお椀を選ぶ、というのは中々難しいものです。素材やデザインなど、自分なりの基準を見つけてみてはいかがでしょうか。

【京都匙亀】「神楽椀」木のお椀ペアセット(桜/楓/欅)

三種の木から選べて、特殊加工により食洗機にも対応。

【京都匙亀】「神楽椀」木のお椀ペアセット(桜/楓/欅)

表面に特殊な塗料を使用することで、木製の器ながら食洗機にも対応。職人が国産の木材を1つ1つくり抜いて生まれる、木の良さを余すところなく楽しめる一品。

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【榧工房 かやの森】本榧茶碗

幻の木、榧(かや)を天然の蜜蝋で仕上げたお椀。

【榧工房 かやの森】本榧茶碗

直径1.1mのほどの成木(せいぼく)に育つまでに300年近く要する、希少性の高い榧(カヤ)を使用したお椀。最高級木材の1つであり、強度が高く、使い込むと飴色の光沢を放つ榧は、家や船の土台、高級な碁盤などにも使用される。

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【山田平安堂】めし椀/汁椀 薄挽 木地溜

こちらのお椀を塗り上げるのは、最高峰の職人集団。

山田平安堂の漆器のめし椀/汁椀 木地溜

宮内庁をはじめ、世界中の公館に納める漆器の制作を手がける、漆職人集団による一品。耐久性に富んだ油分の少ない漆を塗り重ね、漆塗りの美しさと、木目の力強さが際立っている。

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【輪島キリモト】おわん(黒/ベンガラ/赤口朱)

「蒔地技法」により、金属製のスプーンでも傷つかない。

【輪島キリモト】おわん(黒/ベンガラ/赤口朱)

表面硬度を高める特殊な技法により、金属のカトラリーを使っても安心。デザイン性、機能性共に、毎日の食卓で気兼ねなく使える普遍的な一品。

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【漆器の井助】汁椀(溜内白/朱内白/洗朱内白/ピンク内白/ブルー内白)

鮮やかな色が揃う、天然木、本漆のお椀。

【漆器の井助】カラフル汁椀

漆器といえば黒か朱・・・そんな常識を覆す、色とりどりの漆のお椀。漆塗りならではの鮮やかな色のグラデーションが美しい。

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まとめ

食生活を豊かにしてくれる、お椀の条件。

それは、脈々と受け継がれてきたお椀の歴史から読み解くこともできますが、なにより、各々が培ってきた価値観や経験によるところも大きいかと思います。

最後にご紹介したお椀は、どれも様々な工夫がこらされており、より多様化してくお椀の世界を垣間見れたのではないでしょうか。

様々なお椀に触れてみながら、自分だけの至高のお椀を見つけてください。